前回の記事写真を撮ろうで、星を撮る方法をお話ししました。この何気無い星を写真で撮る行為は、歴史的には天文学の発達においては欠かせないものでした。
今回は写真技術がどのように天文学の発達に寄与したのか紹介します。
<写真術の発明>
1839年、フランスの画家のダゲールによって、銀版に画像を定着させる「ダゲレオタイプ」とう写真術が発明されました。これは世界初の実用的写真撮影法とされました。
<天体観測への利用>
「ダゲレオタイプ」の発明を知った天文学者たちは、その写真術を天体観測に利用しました。
というのも、それまでは、肉眼で見た天体の様子(位置、形、明るさ)をスケッチで記録していました。しかし、この方法は正確性に非常に疑問が残るものでした。
それに比べて、ありのままを移す写真術は客観的、正確性という観点で非常に魅力的だったのです。
写真術を用いたことで、星の明るさも正確に測定できるようになりました。写真上に移った星の大きさから星の明るさを正確に判定できるのです。
これによって、星の等級(1等星、2等星など)の定義も変わりました。
かつては、全天で最も明るい星20個を1等星、かろうじて見えるぐらいの暗い星を6等星としていました。
これがありのまま正確に写せる写真術の登場によって、1856年、1等星は6等星の100倍の明るさとし、1等級ごとに明るさが2.5倍違うものと定められました。かつてと比べてとても定量的ですよね。
他にも、写真の長時間露光(シャッタースピードを遅くして撮影)を行うと、肉眼では絶対に見えない星も捉えることができます。非常にか弱い光しか出さない星でも、何時間も露光しておくことで、光を蓄積し、見える化することができます。
これによって、望遠鏡でもわからなかった星でさえ浮き彫りにすることができました。見えるものが見えるようになったことで、天文学はさらに発達していきました。
写真は天文学の発達にはなくてはならないものでしたね。そして、昔は貴重なカメラも、今では一般家庭でも手の届きます。とても良い時代ですね。
ただ単に、星空を撮って作品を創るだけでなく、見えない星を見るなどの天体観測の道具として活用するのも楽しいですね。